大気汚染物質と発生源

大気汚染物質とその発生源

大気汚染物質とその発生源

大気汚染物質には多くの種類があり、主にガス状物質と粒子状物質に分けられます。「大気汚染に係る環境基準」が定められている物質は、二酸化硫黄、二酸化窒素、一酸化炭素、光化学オキシダント、浮遊粒子状物質および微小粒子状物質です。有害大気汚染物質として環境基準が定められている物質は、揮発性有機化合物であるベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンおよびジクロロメタンの4物質です。また大気中のダイオキシンについても環境基準が定められています。

大気汚染物質には、「一次汚染物質」と「二次汚染物質」の2つがあります。一次汚染物質は二酸化硫黄やベンゼンなどのように発生源から直接排出されるもの。二次汚染物質は光化学オキシダントのように一次汚染物質が大気中で化学反応によって生じたものです。

一次汚染物質を排出する発生源には、工場や家庭などの固定発生源と自動車、飛行機、船舶などの移動発生源があります。このような人為的な発生源だけではなく、火山や黄砂などの自然活動に由来する発生源もあります。

大気汚染を防止するために、工場の煙突などから排出されるばいじん、硫黄酸化物、窒素酸化物、ベンゼンなどについて排出基準が定められています。自動車排出ガスについては、車両に対して窒素酸化物などの排出基準が定められており、大都市圏などの地域については車種の規制も行われています。

二酸化硫黄、二酸化窒素、光化学オキシダントなどの大気汚染の状況を常時監視するために、都道府県などにより全国的に一般環境大気測定局が整備されています。環境省では、これらの測定結果を大気汚染物質広域監視システムにより、24時間にわたり情報の提供を行っております。

物質環境基準
二酸化硫黄1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ1時間値が0.1ppm以下であること。
二酸化窒素1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内またはそれ以下であること。
一酸化炭素1時間値の1日平均値が10ppm以下であり、かつ1時間値の8時間平均値が20ppm以下であること。
光化学オキシダント1時間値が0.06ppm以下であること。
浮遊粒子状物質1時間値の1日平均値が0.10mg/㎥以下であり、かつ1時間値が0.20mg/㎥以下であること。
微小粒子状物質1年平均値が15μg/㎥以下であり、かつ1日平均値が35μg/㎥以下であること。

参考記事
大気汚染に影響を及ぼす気象

PM2.5世界最悪のニューデリー

「大気汚染の代名詞」ともいわれている粒子状物質「PM2.5」ですが、今世界中でもっともこれが多い国はインドです。インドの首都、ニューデリーはPM2.5が世界一といわれています。なんとも不名誉な「世界一」ですが。

今回の大気汚染は昨年10月から深刻になった。米大使館が毎時計測するPM2.5の濃度は11月初旬、1立方メートル当たり509マイクログラムとなり、6段階で最悪の「危険水準」を超えて「健康上のいかなるアドバイスもできない」(米大使館)レベルに達した。11月中旬には976マイクログラムまで高まった。

そして、政府は「緊急事態宣言」をしました。具体的な対応としては、主に「走行規制」です。この走行規制がどういうものかといいますと、「乗用車のナンバープレートの末尾の数字が偶数なら偶数の日のみ運転でき、奇数の車は奇数の日だけ」という規制です。違反車には1回2千ルピー(約3500円)の罰金を科した。

実はこの奇数・偶数政策では、同じく大気汚染が深刻な中国の北京市が先行、昨年12月にも実施した。走行規制だけでなく、建設工事の中止や工場の操業停止や減産も命じた。在北京の米大使館の計測値によると、足元ではPM2.5の濃度は12月の数分の1にまで減少。何割かしか減っていないインドのニューデリーとは大違いです。