大気汚染に影響を及ぼす気象

霧と靄の違い

霧と靄の違い

視程障害と粒子状物質〜気象の定義の仕方

「視程(してい)」とは、「肉眼で物体がはっきりと確認できる最大の距離のこと。大気の見通し。」をいいます。

突然ですが、皆さんは「霧(きり)」と「もや」の違いをご存知でしょうか?

気象庁の発表では湿度が高い場合、視程が1km未満のものを「霧」、1km以上の「もや」といいます。また湿度が低く、ごく小さい大量の粒子が大気中に浮いている現象を「煙霧」という言葉でひとくくりにしています。

煙霧とは、目に見えない乾いた微粒子が大気中に浮遊していて、視程が妨げられている現象を指します。気象観測上は、視程が10km未満になっているとき。また煙霧のとき、湿度は75%未満の場合が多く、発生源は、地面から舞い上がったちりや砂ぼこり、火事による煙、工場や自動車からのばい煙などです。

煙霧の中でも、風によって舞い上がった塵であることが判明している場合、「チリ煙霧」、さらに、チリ煙霧の中でも大陸の黄土地帯からきたと判明している場合、「黄砂」と呼びます。燃焼により生じた小さな粒子が大気中に浮遊している現象で、発生源が判明している場合は「けむり」と呼びます。(ちょっと話がややこしいかもしれませんね)

つまり、黄砂の可能性があっても発生源がはっきりしていなければ、「チリ煙霧」という扱いになります。


気象発表の原則

今から3年ほど前、関東地方南部を中心に視程が悪化しました。この頃、ちょうど中国からの汚染物質の飛来が話題になっていたこともあり、多くの人が「黄砂」を疑い、気象庁に「中国からの飛来ではないか」と問い合わせが殺到したそうです。

しかし、これと同じ日、神奈川県の横浜地方気象台は「チリ煙霧」、埼玉県の熊谷地方気象台は「チリ煙霧と風塵」、千葉県の銚子地方気象台では「煙霧と砂塵あらし」と記録し、発表しました。これは矛盾ではなく、大気現象については定義が決まっており、各地方気象台はそれに従って現象を観測しただけです。気象台も含めて、気象庁では複数の大気現象があるとき、影響の大きいものひとつで表現することになっており、また黄砂などは、前述したとおり、原因がはっきり確認できたときだけ「黄砂」と発表します。


大気汚染の程度を決める風

大気汚染のの程度は、もちろん自動車や工場などから排出される汚染物質の量によります。しかし、その量が一定でも汚染の程度はそのときの気象状態によって変化します。排出される汚染物質が拡散せず、1ヵ所にとどまるような気象状態のときに大気汚染がひどくなるということです。

  1. 風が弱くて水平方向に汚染物質が拡散しにくい。
  2. 海陸風前線など、局地的に収束域ができ、汚染物質がとどまりやすい。
  3. 大気安定で、地上付近で発生した汚染物質が上空に拡散しない。

上記3つのような状態のとき、大気汚染がひどくなります。また、光化学スモッグは強い日射によって汚染物質が変質していきますので、強い日射の有無が大気汚染の程度を決めます。


大気汚染と環八雲

東京に周囲を走る道路、環状八号線、通称「環八」に、天気の良い日の午後に「環八雲」が出現することがあります。これは聞いたこともいると思いますが、「ヒートアイランド現象」と関係があります。都心の気温が周囲よりも高くなり、ヒートアイランド現象によって、東京湾や相模湾から入った風が都心から外側の環八沿いへと吹き寄せられて、そこで上昇気流となることで発生します。環八沿いには自動車の排気ガスなど雲の核となる浮遊粒子状物質が多いため、その上昇気流によって雲が環八に沿うようにできるというわけです。

(次に読んでほしい記事)
国際的な大気汚染への取り組み

中国の大気汚染について思う

テレビで中国の北京の様子を見ると、まるで霧の中にいるのか?と思うような濃い砂嵐の中を人々が平然と行き交っています。これを見て、私は「この状況で、よく普通に生活できているな、中国人は凄いな」と思ったものです。

ですが、よく考えると、中国の砂嵐の原因は大気汚染だと知っているのですが、大気汚染の原因はなんでしょうか?

気になったので、調べてみました。

中国の大気汚染の原因

中国の大気汚染の主な原因は、石炭火力発電所、車、工場の排気だそうです。

中国と石炭火力発電所の関係
中国は国内の電力の多くの部分を石炭火力発電所で賄っています。石炭を自国内で採掘できる中国では実利のある構造だと思いますが、石炭火力発電所は環境に対する負担が大きいので、先進国では新しく作られている石炭火力発電所は殆どありません。

中国も石炭火力発電所の問題は認識していますが、石炭火力発電所に変わる発電所の目処を立てることは容易ではないので、直ぐに石炭火力発電所から脱却することは難しいようです。

暫くは、石炭火力発電所による大気汚染が止まることはないでしょう。

車の増加
世界1の人口を誇る中国は、今や世界に影響を与える経済大国です。その影響からか、中国国内での車の数は激増しています。車は動けば排気ガスを排気します。中国では、この排気によっても大気汚染が進んでいます。

大気汚染が酷い日には、中国では車のナンバープレートの末番号によって、運動できる車を制限するという、冗談のような政策をとっています。

中国国内での、車の排ガス規制が進まない限り、車による大気汚染が止まることはないでしょう。

工場による大気汚染
中国は世界の工場と呼ばれる様に、数多くの工場があります。それらの工場から排出される煙によっても大気汚染が進んでいます。

また、中国国内で取れるレアアースの加工にも、大量の汚染排気や汚染排水が発生するので、大きな問題として国内外に捉えられています。

中国の大気汚染が収まる日

日本を始め、今日の先進国と呼ばれる国も、今の中国のように大気汚染や公害に苦しんだ時期がありました。いずれは中国も国が育ち、先進国の仲間入りをする頃には、真剣に汚染の解決に取り組む日がくるのではないかと思っています。